(新聞記事に見る「ブンブンプロジェクト」)


<96年4月2日>
マーシャル諸島 67回の核実験で健康被害が多発 移住の島民へ小型漁船を
(読売新聞東京朝刊17頁 生活面)
◆市民グループが募金活動
太平洋マーシャル諸島でアメリカが最初の核実験を行って今年で五十年。十二年余
で六十七回にも及ぶ実験は、実験場の島だけでなく、近くの島々の人たちにも深刻な
後遺症を残している。島を追われ不便な生活を強いられている島民に小型漁船を送る
運動が、今月から市民グループの手でスタートした。
◆1000万円目標、スタッフ募集
マーシャル諸島では第二次世界大戦後、アメリカが施政権を獲得、一九四六年七月
からビキニ環礁で核実験を開始した。五八年まで、広島型原爆約七千発分の実験が行
われたとされている。五四年のビキニ水爆実験では日本の漁船「第五福竜丸」も被ば
くして大きな問題になった。
しかし、「近隣の島々も大量の死の灰を浴び、島民が苦しんでいることはほとんど
知られていない」と、支援活動「ブンブンプロジェクト」神奈川事務局代表の清水谷
子さんは語る。
清水さんは八五年から約六年半、マーシャル諸島に住んだ。そこで、ロンゲラップ
など近隣の島民の間にも、甲状腺(せん)がんや出産異常、手足の奇形など、実験の
影響と思われる健康被害が多発していることを実際に見聞した。
八六年の独立後、マーシャルにはアメリカが補償金を支払っているがそれでは解決
できない問題も。ロンゲラップの島民は水爆実験後三年余り別の島で避難生活を送っ
たのち、その一部が島に帰った。ところが八五年五月に環境保護団体グリーンピース
の船で再び島を脱出、二百キロ・メートル南の無人島に移住を余儀なくされた。残留
放射能の影響が懸念されたためだ。
今回のプロジェクトは、このメジャト島に住む旧ロンゲラップ島民が対象。東西一
キロ・メートル南北〇・五キロ・メートルのサンゴ礁の小島は食用植物が少なく、魚
介類も乏しい。他島からの食料の運搬や約百三十キロ・メートル離れたイバイ島の病
院に通うのは船に頼るしかないが、島民の小型漁船は故障が多い。
プロジェクトの名前になっている「ブンブン」は、現地の言葉でディーゼルエンジ
ンの付いた漁船のこと。当面十トンクラスの漁船を贈るのが目標だ。戦時中、マーシ
ャル諸島で肉親を亡くした遺族や核実験問題に関心のある人など約二百人が呼びかけ
人となり、一千万円を目標に募金活動を開始すると同時に参加スタッフも募集してい
る。
問い合わせは、神奈川事務局(0468・75・0603)と京都事務局(075
・723・1536)。

<96年7月1日>
「ビキニ被ばく島民に船を」 写真家が支援活動 米核実験から50年
(朝日新聞夕刊 14頁 2社 )
マーシャル諸島ビキニ環礁で、米国が核実験を始めてから、一日で五十年になる。
実験場のために故郷の島を追われた人たちは、いまも避難生活を強いられている。被
ばくの実態を撮り続けてきた写真ジャーナリストの島田興生さん(五六)はこの春、
島民のために小型船を贈る活動を始め、二日には支援者たちと現地に向かう。実験開
始半世紀を機に現地では、島田さんの作品のスライド上映会が予定されている。
米軍は太平洋戦争が終わった翌年の一九四六年、原爆実験を開始。七月一日と二十
五日の二回の爆発で、旧日本海軍戦艦「長門」や米空母「サラトガ」などが沈められ
た。
島田さんは七四年、初めて現地を訪れ、その後何度も通って被ばくの後遺症に苦し
む人たちの暮らしぶりを記録してきた。
ビキニ環礁やロンゲラップ島の住民は、いまも故郷に帰れずにいる。避難先のメジ
ャト島には食用植物がほとんどなく、子供たちには栄養障害、皮膚病、肝炎などが広
がっている。
メジャト島には医療施設がないため、被ばくの後遺症や他の病気がある人は、百三
十キロ離れたイバイ島に行かなければならない。だが、島にある船は故障して動かな
いことが多く、ほかには三カ月に一度、援助物資を積んだ政府の船がまわってくるだ
けという。
日本に戻った島田さんは、島民に小型船を贈ろうと呼びかけ、今年五月、「ブンブ
ン(小型船)プロジェクト」が発足した。今年中に第一号を贈ることを目指している。

<96年10月29日>
核実験の島・マーシャルへ 日本の市民グループが「生活の足に」漁船贈る
(読売新聞東京朝刊17頁 生活面)
◆プロジェクト第1号 来年2月
アメリカが一九四六年から太平洋マーシャル諸島で行った核実験のため島を離れ、
今も不便な生活をしている同諸島の島民に、日本の支援グループが中古の漁船を贈る
ことになった。来年三月のビキニデーの前に現地に届ける。
このグループは、神奈川と京都に事務局を持つ「ブンブンプロジェクト」。最初の
核実験から五十年が過ぎた今年春、五四年のビキニ環礁での水爆実験のために住んで
いたロンゲラップ島を離れ、かつての無人島で暮らしている旧島民に小型漁船を贈る
運動をスタートさせた。
約四百人の旧島民が住んでいるメジャト島は、東西一キロ・メートル、南北〇・五
キロ・メートルの小さな島。大半の食料は他の島から運搬しているうえ、病院は約百
三十キロ・メートル離れたイバイ島にしかない。船が重要な生活の手段だが、島民の
持っている漁船は故障することが多く、生活上、大きな支障をきたしている。
プロジェクトの名前の「ブンブン」は、現地の言葉でエンジン付きの漁船の意味。
現地で生活したことがある神奈川事務局代表の清水谷子さんらが、生活の足となる船
を贈るため、募金活動を始めた。
この運動を紹介した四月二日の本紙「家庭とくらし」面の記事を見た金沢市の海事
業、海老名和博さん(41)から、「現地の人の役に立つのなら」と、七・七トンの
作業船を提供する申し出があり、このほど第一号の贈呈船に決まった。船体は古いが、
エンジンは五年前に取り換えたばかり。
年末までに、船の引き渡しを受け、これまでに集まった募金約二百五十万円の一部
を使って船体を改造、来年二月ごろには島に届け、船の操縦など現地の若者の訓練を
行い、引き渡す予定。
清水さんは「幸先の良いスタートが切れてうれしい。船は島民の生活にきっと強力
な支援になるはず。息の長い運動にしたいので、これからも多くの人たちの協力をお
願いしたい」と話している。
問い合わせは、ブンブンプロジェクト神奈川事務局(0468・75・0603)
へ。

<96年11月12日>
[人模様]被ばく島民に船を 写真家の島田興生さんと妻の清水谷子さん
(毎日新聞東京本紙夕刊 3頁 総合 )
太平洋・マーシャル諸島のビキニ環礁で米国が行った核実験で島を追われ、いまも
避難生活を送る被ばく島民に、暮らしに役立つ船をプレゼントしようと、「第1号船
を贈るお祝いパーティー」がこのほど、島民支援の市民団体「ブンブンプロジェクト」
の主催で東京都中野区で開かれた。
「ブンブン」とは、マーシャル語でエンジン付き船のこと。現地に6年間住み、被
ばく島民を追跡してきた写真家、島田興生さん(56)と妻、清水谷子さん(63)
=写真=が帰国後、「ブンブンプロジェクト」を結成、募金活動などを続けてきた。
パーティーでは同プロジェクト事務局長の清水さんが「幸い、作業船(8トン)を
無料提供してくれる人が現れました。今後、島民が乗りやすいように改造し、来年の
ビキニデーまでに現地に輸送したい。改造費や輸送費に資金が必要ですが、まだ目標
額の25%です」。問い合わせは清水さん(電話0468・75・0603)へ。

<97年6月13日>
被ばくの島、マーシャル諸島に船を 神奈川の写真家ら運動 /千葉
(朝日新聞朝刊 千葉版 )
ビキニ環礁の水爆実験で「死の灰」をかぶったマーシャル諸島。被ばく後遺症に苦
しむ小島の住民に船を贈る運動に取り組んできた神奈川県葉山町の写真家島田興生さ
ん(五七)が念願の漁船を手に入れ、富津市の鈴木造船所で贈呈する船の修理作業が
始まった。十二日は現地で操船指導にあたるボランティアが富津を訪れ、船内の改装
について造船所と話し合った。七月下旬に、横浜を出港する貨物船に船を積み込んで、
現地に送る予定だ。

島田さんは一九八五年から六年間、マーシャル諸島の首都があるマジュロ島で暮ら
した経験がある。移住したばかりのころ、ビキニから東に約百九十キロのロンゲラッ
プ島で、全住民が残留放射能を恐れて島を捨て、無人島などに移る、という出来事が
あった。
このうちメジャト島と呼ばれる小島に約四百人が移住。しかし、若者はここからほ
かの島に働きに出かけており、お年寄りと子供が多く残されている。自然や人体に潜
んでいる被ばくの後遺症が出ているため、食料の供給など、米国の生活支援が続いて
いるという。
交通手段もなく、閉ざされたメジャト島の人たちに生活手段になる船を贈ろうと、
島田さんは写真展や講演などを通じて、カンパを呼びかけた。現地では小型船を「ブ
ンブン」と呼んでいることから、ブンブンプロジェクトと名付けて、ボランティア仲
間を募ってきた。
昨年から船を探していたが、このほど富津市の漁師から底引き網の漁船(五トン、
全長一六・五メートル)を譲り受ける話がまとまった。七日と八日には島田さんの仲
間やボランティアら二十数人が造船所に集まり、船底に付いている海藻や貝殻などを
取り除いた。現地からは、船の名前を「リィマンマン」(北の星)にしたいという連
絡が届いている。
ブンブンプロジェクト神奈川事務局代表の清水谷子さんは「やっとここまできた。
島に閉じこめられた人たちが、病院に通ったり、魚を取ったりできるようにさらにが
んばりたい」と話した。当面、現地で船を運航、管理するボランティアも探している。
問い合わせは同事務局(〇四六八―七五―〇六〇三)まで。
<マーシャル諸島> 中部太平洋、ミクロネシア東部に位置する島群。総面積百八
十平方キロメートル、人口三万二千四百二十七人(一九八〇年現在)。三十四の環礁、
サンゴ礁島からなる。一九四六年からアメリカはビキニ環礁などで原水爆の実験を行
い、島民を強制移住させた。

【写真説明】
船底に付いた海藻などを取り除くボランティア=富津市の鈴木造船所で

<97年6月8日>
南の島へ善意の漁船 核に追われた島民に生活の自立を手助け 市民団体が贈呈
(読売新聞東京朝刊30頁 社会面 )
アメリカが一九四六年から行った核実験のため生活の場を追われた太平洋マーシャ
ル諸島の住民に小型漁船を贈る活動に取り組んでいる市民団体「ブンブンプロジェク
ト」(事務局・神奈川県葉山町、京都市)が七日から、千葉県富津市の造船所で、入
手した中古漁船の改装工事を始めた。リニューアルされた漁船は七月十九日、横浜港
から貨物船に積まれ同諸島へ向かう。
船が贈られるのは同諸島のメジャト島に住む約四百人の旧ロンゲラップ島民。東西
一キロ、南北〇・五キロの小島で、目立った資源がなく、生活は苦しい。現地での生
活経験がある神奈川事務局代表の清水谷子さんらが「病人の搬送や物資の運搬、漁業
に使える船を贈り、生活の自立に手を貸そう」と募金活動を続けてきた。ブンブンは、
現地でエンジン付き漁船を意味する。
漁船は、富津市の漁民から購入した強化プラスチック製(六トン)。船体は古いが、
エンジンは昨年オーバーホールしたばかり。改装工事は、不要な漁網用ウインチを取
り外し、三十人前後乗れるように甲板にシートなどを取り付ける。
この日の作業には、東京都、神奈川、静岡県などから集まったボランティア約二十
人が参加。船底に付着した貝や海藻を取り除く作業に汗を流した。
これまでに集まった募金は約四百三十万円。運送費などを含めると最終的に六百―
七百万円必要なため、清水さんらは、引き続き募金を呼びかけている。問い合わせは
神奈川事務局(0468・75・0603)。

写真=島民へ贈る船の改装作業に励む(千葉県富津市の鈴木造船所)