環境対策は積極的に進め、環境教育は準備中
〜「第2回・学校における環境対策アンケート調査」結果
森上教育研究所と教育環境研究所は、昨年に引き続き今年9月から10月にかけて「第2回・学校における環境対策アンケート調査」を実施、このほどその結果をまとめた。調査は首都圏の私立中学・高校270校を中心に行われ、昨年より24校多い107校の回答を得た。集計結果の内容は次頁以降に示した通りである。
ほとんどすべての項目において、取組みを進めている学校数の割合は前回の数値を上回り、この1年で環境対策が急速に進んでいることがわかった。学校としての環境対策が進んでいるのに比べて、授業における取り組みなど環境教育の面ではまだ実施率が低いが、関心は高く、検討中のところは多い。なかには単独の学校としての取組みに留まらず、行政や地域と連携したり、学校法人など複数の学校グループとしての活動を進めるところやISO14001の認証取得をめざしているところもある。
質と量の両面において、今後さらなる環境対策の広がりが予想される。
環境教育は検討中や研究中が多い
校務分掌については、環境問題の担当者がいる学校が昨年の35%から45%にアップ。環境対策の具体的な方針・目標の策定も6ポイントほど高くなって35%になり、環境教育の担当者がいるところもややアップした。ただし、環境問題の担当者がいる学校は半数に迫る勢いなのに対して環境教育の担当者がいるのは17%の学校に留まっている。これはカリキュラムに環境教育を組み込んでいる学校の割合が低いことと対応している。
カリキュラム関連では、環境教育を授業として取り入れている学校の割合は、必須授業としては下がり、選択授業としては上がったが、全体として増加の勢いは弱い。一方、「どのような形で取組むか、環境教育について検討中である」は学校数で倍増、割合で8ポイントアップしており、また「授業研究の中で環境教育が取り上げられている」も大きな伸びが見られた。私立学校が新学習指導要領に盛り込まれている「総合的な学習の時間」をどのような形で導入するか、によっても今後の動向が変わるだろうが、ある時期に環境教育が一気に広がる可能性を示している。
ただし、環境教育をあまり狭く捉えない方がいいかもしれない。授業では、とりたてて環境問題というほどのものではなくても環境関連のテーマにつながるものはたくさんあり、アンケートに現れなくてもすでに取り組んでいると言えるケースも多い。また、省エネやゴミ分別、その他の環境対策に学校が取組むことは何よりも効果が大きい環境教育である。もちろん、ボランティア活動や課外活動という形での環境教育も重要だ。授業における取組みと合わせて総合的な視点が必要だろう。その点では、部活やサークル活動、長期休暇時の研究テーマの中で環境問題を取り上げている学校が増えているのは評価できる。
進む環境対策
学校の環境対策として、実施校の割合が大幅に高くなった項目としては「OA機器について、エネルギー効率をチェックし、エネルギー効率の高い機器を積極的に導入」(6.0%→43.0%)、「使い捨て製品の使用や購入を抑制」(19.3%→37.4%)、「コピー機、プリンタのトナーカートリッジの回収とリサイクル」(27.7%→46.7%)、「蛇口に節水コマを設置」(12.0%→27.1%)、「エコマーク商品を優先的に購入」(3.6%→15.9%)、「除草剤、殺虫剤の使用の削減など」(19.3%→37.4%)、「地域の自然環境との調和に配慮し、生態系や景観の保全に取組んでいる」(30.1%→43.0%)などがあった。
また、今回新たに設けた項目をみると、有害化学物質の濃度調査、対策規定の作成などの対策を行っている学校は7.5%、有害物質が出ない壁材などを使用しているところは32.8%だった。シックハウス被害の調査を行ったことがある学校は1校しかなく、東京都のホルムアルデヒドに関するガイドラインについて知っているのは15.9%だった。まだ、有害化学物質に対する関心は低いが、日本の家屋における有害化学物質の発生は北欧に比べてかなり多いというデータもあり、化学物質過敏症の問題が大きくなっていることから、学校においても今後重要な問題になってくるだろう。
具体的な取組み、実践事例に関する情報交換を
環境対策は学校内だけで実施できるものではなく、行政や地域との協力・情報交換が欠かせない。ゴミを分別して出したのに行政ではすべて燃やしていたので混乱が生じたという地域があったように、行政の事情によって分別方法が異なったり、変わったりするので、「この方法が一番」という教科書的な教え方や対策はできない。全教職員と生徒が一緒になって考えていくという姿勢が環境教育や環境対策には必要だ。
環境対策、環境教育は、知識を蓄えると言うよりも「知恵と体験」を培うものであろう。未知のものに対応する知恵と工夫が連携した活動の中で生まれれば理想的であり、それが環境問題への対応の特徴だろう。「Think Globally Act Locally」というキャッチフレーズに象徴されるように、実践活動は重要だ。ノウハウは具体的で多様な事例の中から学びとっていかなければならない。ご協力いただいた学校における実践事例や具体的な取組みについて情報交換をさせていただき、さらに学校における環境対策と環境教育を発展させるために寄与できれば幸いである。
(渡辺幸重、教育環境研究所代表)